コンビニ冷食
文筆家のまきむぅこと牧村朝子さんを講演会にお呼びした際に、
「誰かを好きになるって、自分と他者の境界線が曖昧になるってことだと思うの。」
と彼女が言っていたことをよく思い出す。
「私はね、コンビニで好きな子の好きなスイーツを見つけて、思わずその子に買ってしまうときに、その子のことがすごく自分は好きなんだなぁと気づくの。」とも。
私はそれを聞いて涙ぐんでいた。
元カレと一緒に生活していた時、そしてその生活を解消しようとした時、
私はコンビニで大量に冷凍食品を買い込んだ。
私が夜ご飯を作らなくなったら、この人はものを食べないかもしれないからと、
彼の好きなセブンイレブンの冷凍食品を、たくさんたくさん買い込んだ。
レジで支払いをするときに4桁の額を言われて、笑ってしまった。
私、コンビニでこんなに買ったことないなって。
お代を払って、ははは、本当に私は馬鹿だなって笑いながら、
自分の中に愛が流れているのを感じた。
自分にだってこんなに尽くしたことないのに、
彼の為だったらなんでもできてしまう気がした。
わたし、本当に好きだったんですよ、彼のこと。
好きな人と一緒にいれなくなるのが、とてつもなく苦しかった。
もう一緒にいることに疲れすぎて、最後は泣いたりできなかったけど、
ずっとずっとじんわりと苦しかった。