人を愛しすぎてしまう人たちに祝福を

めいちゃんのブログです

散らかってる男の子の部屋が好きだ

「ごめん今だいぶ部屋散らかってるけど」と言われ、

「うん大丈夫よ、部屋きったな!って言ってあげるから」

などと茶化しながらタクシーで彼の家に向かう。

タクシーの運転手さんへ的確に道の指示を出すのを見て、

あぁいつも遅くまで仕事の飲み会なのだな、大変だな、と思う。

 


散らかってる男の子の部屋が大好きだ。

デートに着てくるバーバリーのシャツに、グッチの腕時計。

とは対照的な、部屋に散らかるスナック菓子とスマブラ

自炊のための調理器具や、使いやすく置かれた食料品。

積み上がった小説やビジネス本たち。

 


あぁ、彼がここで生きているのだなと思う。

何の悩みもなく軽々しく生きてきてそうな男の子が、

私と地続きの場所で、それなりに人生をやりくりしながら

生きているのだと感じることができる。

彼の人生の一端を見れるような気がする。

愛おしい。あまりに愛おしい。

 


彼のどこが好きなのかと聞かれたことがある。

「あの…意味わからないと思うんですけど、彼が生きてること自体が好きっていうか…」と答えた。

 


あなたが今日も一日、早起きをして、眠い顔をしながら電車に揺られ、

仕事をして、残業を振られ、やっとこさ家路につき、

YouTubeを見ながらコンビニ飯を食べる、その愛おしさよ。

あなたが毎日生きていること自体を私は愛している。

 

 

床に落ちてるメイク落としシートに、

棚にしまってある化粧水のミニボトル、コンタクトレンズの洗浄液。


私のことを好きになってくれなかった男の子たちも、

誰か他の女の子をちゃんと好きになったことがあるのだ、

という事実を部屋に見つける時、

どうしようもない気持ちになる。

彼と私の人生が交差し得た未来を思ってやるせなくなる。

 

 

 

他の誰かがどんな風に見ようとも、

私は精一杯、彼らを愛した。

ひとりひとりの人生がまるごと好きだった。

欲を言えば、もっとあなたと一緒にいたかったな。

ごめんね、わたしもっと上手くやれればよかったね。


あなたと狭いバスタブに入るのが好きだったわ。

一緒に入ると湯船から一気にお湯が溢れるの。

あなたが好きだから、色んな種類の入浴剤を集めたわね。

色んな話をしたわね、お湯でのぼせるほど。

いっぱいキスをしたわね、お湯がぬるくなるまで。

お風呂から上がって裸のままふざけ合うのが

この上なく好きだったわ。

言ったことなかったけど、あなたの笑顔が好きだったのよ、私。

 

吸い殻でいっぱいになったあなたの灰皿が愛おしい。

あなたが吸い始めたきっかけはなに?

最初はやっぱりあなたもタバコの煙でむせたのかしら。

嫌なことがあるとあなたも吸う本数が増えるの?

元カノと付き合ってた時は禁煙してたのね、2年も…。

あなたの灰皿に私のタバコの吸い殻を少し入れさせて。

少しでもあなたの人生に触れたいの。

私、あなたが大好きよ。

 


涙も凍るような厳しい冬に、一瞬の春が通り過ぎる。

あなたの大きな掌のことを思う。あなたの柔らかい頰の感触のことを思う。

今日はいい日だ、と思える。生きてて大丈夫だと思える。

季節は冬に逆戻りするみたいなのだけれど、

私、あなたの温もりを信じてみてもいいかしら。

 

 

 

ーだいぶ色んな記憶を混じらせて書きました。

多分5人くらいの男のことを書いてます…