すべての愛が腐った臭いが立ち込める
愛の腐った臭いが立ち込める。
水々しく熟れた色鮮やかな果実たちは、一斉に腐臭を放っている。
一口ずつきみが齧ったところから黒ずんでいるのを、きみは見もせずにいる。
私の苛立ちは暑さを伴って季節を変えてゆく。冬の冷静さが失われ、春の日差しは情熱を引き寄せては美しい果実を腐らせる。
私をぞんざいに扱わないでよ。
カラフルな果実たちが色を失いながら世界を悪臭で満ちさせる。
そのとき、すべての愛が意味のないものとなる。ああ、きみに捧げた果実たちよ!
強い腐臭は私に吐き気を催させ、よく熟れた甘い果実ほど私をひどくうんざりさせる。きみの触れたところから私の体はぐにっと嫌な柔らかさを見せはじめている。
ああ、腐ってゆく!
鼻の効かないきみは一瞥だけして私の体をなおも撫で回す。腐りゆく私はそれを拒めずにいる。どうしようもなく死にたくなってしまう。
この世界の美しさがみたいんだ私は。愛を、希望を信じたい、信じさせてくれよ。
素直な気持ちできみを愛させてくれ。私の希望になってよ。お願いだから…。