ターコイズブルーの
表参道のスパイラルに寄ったら、現代美術がずらりとならぶフェアがやっていた。Selected Art Fair 2018 「蒐集衆商」、らしい。
あした28日までやっているみたいなので表参道へ行く際はぜひ。
いくつか見たことある作家さんの作品が置いてあった。
作品には一つ一つ値段が書いてあって、
「あぁ、これ10万くらい出せば買えるのか…家に飾りたいな…」
と思わせられた。
2万くらいのもある。ますます家に連れて帰りたくなる。
たしか「嘔吐する言葉」という題名、の作品が好きだった。
作者さんの名前をメモしとけばよかったが、失念していた。
どうせ誰かに買われてしまうのだ。もう二度と出会うこともないかもしれない。
スパイラルの中にある雑貨屋さんを眺めていたら、
素敵な便箋が目に入った。隣には絵はがき。
そうか、絵はがきを書くのはいいな、と思って
いくつか選んで買った。
昔。高校生の頃、カフェデュモンドというカフェが好きだった。
ジャズの聖地であるところのニューオリンズ発祥のカフェだ。
四角いドーナツみたいな「ベニエ」に粉砂糖をいっぱいかけて食べるのがニューオリンズ風。
ニューオリンズを舞台にしたディズニー映画『The Princess and the Frog;プリンセスと魔法のキス』でもベニエは出てくる。
ほんと美味しいんだよなぁこれが。
で、このベニエが日本で食べられるのはカフェデュモンドだけだった。
私は、熱々でサクサクのベニエを頬張りながら、
参考書をいくつも開いて勉強をした。
地元の駅が一望できる窓際右奥から3番目の席に座ると、
隣には綺麗に整えられた白髪のおばあさん。
いつもカフェモカを飲みながら絵はがきを書いていた。
彼女の耳に光るターコイズブルーの大きなイヤリングと
絵はがきに向かう真剣な横顔が好きだった。
それぞれ思い思いの時間を過ごしているカフェという場所が大好きだった。
カフェデュモンドは潰れてしまってもうない。
契約切れで全店舗が閉店したため、日本ではもうベニエが食べられない。
奇しくも店がなくなるタイミングで私も地元の駅を離れたから、
ターコイズブルーのおばあさんに会うこともないだろう。
私は…私は、いまカフェで絵はがきを書いている。
絵はがきを書くのって、時間がかかるものですね。
いつもどなたに書いてらっしゃったんですか。
私、絵はがきって慣れなくて。何を書いたらいいのでしょう。
その綺麗な切手は、どこで買っているのですか。
素敵なイヤリングですね、よくお似合いですーーー
Down in New Orleans - Princess and the Frog - YouTube
1:20くらいに出てくるのがベニエです