人を愛しすぎてしまう人たちに祝福を

めいちゃんのブログです

亡き王女のためのパヴァーヌ

午後9時8分。

タコをバジルソースで和えたやつが食べたい。タコ、好きなんですよね。

あぁ、白菜の漬物も食べたい。柚子の皮が入っていて香りのいいやつ。

海が見たいな。横浜とか鎌倉にサクッと行きたい。ずっと浜辺でじっとしていたい。

あと、死にたい。

 

午後10時14分。

生ハムを一枚一枚はがして食べている。

ラヴェルピアノ曲を流しながら。

 

靴下をはくこともせずに素足をパンプスに入れ、

コツコツと踵を鳴らしながら外へ出た。

パンプスのサイズが足に合っていないので歩くたびに脱げそうになるのだ。

もうこのやっすいパンプスをずっと履き続けている。

誰か、いい靴屋さんを知っていたら教えてほしい…

 

へろへろになりながらコンビニにたどり着くと、

なんとタコのバジルソース和えが売っていない!

白菜の漬物もだ!

おのれファミマめ、何が「お母さん食堂」だ!

と難癖を心の中で唱えながら、生ハムとサラダを購入。

 

帰り道、あまりにも静かな夜に泣きたくなってしまって、

路上に座り込んでしまった。このまま寝っ転がりたい。

着ているシルクのシャツのことなど気にせずに寝っ転がりたい。

泣きわめきたい。

ひどい振り方をしてしまった男のことを思って。

私のことを心配してくれる友人のことを思って。

好きな男のことを思って。

 

ひとりでいる夜は苦手だ。

ラヴェルなんて聞いていたら体に悪いに決まってる。

現実世界から目をそらしては透明な湖の水に顔をうずめて

そのままオフィーリアのようになってしまう。

 

 

あぁ、なんてまずい生ハムなんだ。

ぼくをどうか許してほしい。