「パパ活」をしたい彼女に宛てて
「パパ活をしたいけど、周りが止めるのでやめた」
という、ある学生の意見が授業で読み上げられた。
フェミニズムに関連した授業だった。
パパ活とは何かという説明は省くが、いわゆる愛人契約である。
これは今に始まったことではない。「現代の女性は~」などという論は的外れだ。
昔からある形態に「パパ活」という新しい言葉がついただけのことである。
私はフェミニストだ。
女性が「娼婦」「売女」などと長い間なじられてきたことに私は対抗したい。(そして未だにそのような言葉はこの世の中にはびこっている。)
私が“Sexwork is work”という考え方を知ったのは大学に入ってからだった。
パパ活は(表向き「セックスをしない」ということになっているので)厳密にいえばセックスワークではないが、
水商売やセックスワークなどいわゆる夜の仕事に従事する権利が女性にはある。
セックスワークは立派な仕事なのだ。
(2019年にもなって、こんな当たり前なことを言わなければいけないことに頭を抱えるが。)
冒頭の彼女の言葉にもあるが、そりゃあ「周りに止められる」だろう。
だからあえて私は彼女に言いたい。「チャレンジしてみなさい」と。
周りのくだらない意見なんて聞くな。
もう一方で、私は彼女に細心の注意を払ってほしいとも思う。
「私はおじさんが好きです。年上の人によく好かれるのです。好かれるのは単純に嬉しい。あと経験豊富な人と話せるのも楽しいし、それで金銭を受け取れるならラッキーだ」
とも彼女は書いていた。思わず、うーん…と唸ってしまった。
私も同じだ。年上の人によく好かれる。学生と付き合ったことなんてほぼない。
ただ、いつも考えてしまうのだ。
「私のような年下と話して、この人たちは何が楽しいのか?」と。
「俺の彼女、大学生なんだよね~」と自慢する年上の男を腐るほどみてきた。
ひどい話だと、「JK」とどんなにヤっているかまで。
※JKという言葉は出会い系サイトで隠語として大人の男たちが作った言葉なので私は極力使いたくない。
一般論を言う。若い女に手を出すような男は危ない。
「女は若ければ若いほどいい」と考えている節がある。
どうして彼らは同年代の女性に相手にされなかったのかを想像してみてほしい。
自分より未熟で、モノを知らない人間には付け込めると考えている傾向がある。
一般論を言う。女を金で買う男はやばい。
金を出して自分の気持ちいい言葉ばかりかけられる経験をしていると人は認知がおそろしく歪む。
彼らはいろんな言葉をすり替えてより安価にセックスをさせろと言ってくる。
時には「俺のこと好きなんだからタダでこれくらいいいじゃん」と言うし、はたまた「こんなに払ったんだからこれくらいしろよ」と言う。
「自分はなぜ年上の男性に好かれるのか?」を考えてほしい。
「ほかの子より自分は大人っぽいから」「ほかの子より知的な会話ができるから」
違う、違う。
君が「女子大生」だからだ。
私もそうだった。私も、同年代の子と違って大人にちやほやされるのがたまらなく好きだった。
年上の人と話して、知らないことをいっぱい知れるのが楽しかった。
でも今は、「若さ」を脱ぎたくてしょうがない。
「若いのにすごいね」「やっぱり君はほかの子と違って賢いね」と言われ続けていると、
自分の中で「若さ」が自分の大きな武器のように刷り込まれてしまう。
私はまだ、そこから抜け出せずにもがいている。
「パパ活」で、相手と対等に渡り合うことは、おそろしく難しい。
きみが金銭を受け取って対価として差し出しているのは何か?
時間でも体でもない。
「ほどよく賢くて、若くて未熟なかわいい女」を演じることである。
それがおじさんにとって「育てがいのある」女だ。
最初から対等なんてないのだ。
この社会にジェンダー平等なんてものが達成されない限り、
パパ活という「個人契約」において「年上」の「男性」と対等に渡り合うのはひどく難しい。
だいたいあるのは「搾取」である。
もし、金が欲しいなら店舗がきちんと守ってくれる風俗をやることをおすすめするし、
年上と話したいのだったらガールズバーやキャバクラがいい。
私も周りにいろんなことを言われたけど、結局水商売もやったし、パパ活もやってみた。
だから最初に言ったように、チャレンジしてみればいいと思う。
たまにとんでもなく「人に金を払わせる」才能のある子がいたりもするし。
チャレンジしてみて。でも、気を付けてね。
彼女の検討を祈っています。