人を愛しすぎてしまう人たちに祝福を

めいちゃんのブログです

人待ちのクリスマス

人を待っていた。
終点から終点まで東西線に揺られることを繰り返しながら私は人を待っていた。
空が名前をつけがたい色のグラデーションを携え、遠くには東京スカイツリーが見えた。

私はそれを綺麗だと、思った。
誰かをこうやって待つ時間はそれはそれで悪くない、と思った。
遠くに見えていたスカイツリーが近くなって、電車は地下へ潜った。


初めてデートした日を思い出していた。
あの日も、残業で帰れないと言われて2時間待った。
会う直前につけようと思ってディオールの香水をずっと手元に置きながら、
私は本を読んでいた。
ぼうっと待たされてるのが癪だったから、私は強がって本を読んでいた。
会えるどきどきと、ひとりぼっちのむなしさが混じったかぐわしい匂いとともに。


電車に揺られて3時間(私は頭がおかしい)、着信。
(着信画面にも慣れたなぁ、私。この一ヶ月毎日のように電話してたからなぁ。)
どうやらついに今日は待たされるどころか会えないそうだ。
一気に不機嫌になる私。沈黙が流れる。


すっかり日の落ちた自分の最寄り駅に降り立ち、
私はたばこを一本、二本吸った。
クリスマスイブの喫煙所。
涙ぐんでいた目から一気に涙が引いていく。
たぶん、この刺すような目が好きだ。
不満そうに、眉を顰めるこの顔が好きだ。
細く長いたばこを咥える唇。
満たされない方が、わたしはいい顔をしているように思う。


待たされるのは癪なので、今日はあなた以外のことを考えることにしました。
(それでも、私はあなたを待ってしまってるのよね。どうしようもない、本当に)


人をひたすら待つクリスマスも、悪くないよね。

それだけ誰かを思う季節だってこと。

それだけ誰かを恋しく思う日だってこと。

 

 


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